落とした一銭銅貨
新美南吉
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)雀《すずめ》
−−
雀《すずめ》が一銭銅貨《いっせんどうか》をひろいました。
雀《すずめ》はうれしくてうれしくてたまりません。
ほかの雀《すずめ》をみると、
「ぼくおかねをもってるよ。」
といって、くわえていた一銭銅貨《いっせんどうか》を砂《すな》の上においてみせてやりました。
さて、日ぐれになりました。すこしくらくなってきました。
「や、遊びすぎちゃった。これはたいへんだ。」
と雀《すずめ》は、一銭銅貨《いっせんどうか》をくわえて、おおいそぎで水車《すいしゃ》小屋《ごや》の方へとんでいきました。この雀《すずめ》は水車小屋ののきばにすんでいたのでありました。
まだ水車小屋につかないまえ、はたけの上をとんでいたとき、あまりあわてたので、雀《すずめ》は銅貨《どうか》を落としてしまいました。
「や、これはしまった。」
けれどあたりはもう暗くて、雀《すずめ》の目はよくみることができなくなっていたので、
「あしたの朝さがしにこよう。」
といって、そのまま水車《すいしゃ》小屋《ごや》の巣《す》
次へ
全3ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
新美 南吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング