落とした一銭銅貨
新美南吉

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)雀《すずめ》
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 雀《すずめ》が一銭銅貨《いっせんどうか》をひろいました。
 雀《すずめ》はうれしくてうれしくてたまりません。
 ほかの雀《すずめ》をみると、
「ぼくおかねをもってるよ。」
といって、くわえていた一銭銅貨《いっせんどうか》を砂《すな》の上においてみせてやりました。
 さて、日ぐれになりました。すこしくらくなってきました。
「や、遊びすぎちゃった。これはたいへんだ。」
と雀《すずめ》は、一銭銅貨《いっせんどうか》をくわえて、おおいそぎで水車《すいしゃ》小屋《ごや》の方へとんでいきました。この雀《すずめ》は水車小屋ののきばにすんでいたのでありました。
 まだ水車小屋につかないまえ、はたけの上をとんでいたとき、あまりあわてたので、雀《すずめ》は銅貨《どうか》を落としてしまいました。
「や、これはしまった。」
 けれどあたりはもう暗くて、雀《すずめ》の目はよくみることができなくなっていたので、
「あしたの朝さがしにこよう。」
といって、そのまま水車《すいしゃ》小屋《ごや》の巣《す》
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