、おとなにならないよ。そんな気がするんだもの。
母 なれますよ。いまに、大きくじょうぶになりますよ。
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(長女だまってはいってきて戸口で立っている)
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母 おや、あやちゃん、いかなかったの?
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(長女うなずく)
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母 なにか忘れたの?
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(長女、首を横にふる)
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母 どうしたのさ。びっくりしたみたいに目を見はって。
長女 あたし、鐘撞堂《かねつきどう》の下んところから、帰ってきたの。
母 こっちへ、おいで。戸口のとこになんか立っていないで。まあ、どうしたのさ、息なんかきらして。どうして鐘撞堂のところから帰ってきたの?
長女 あたし、なんだか知らないわ。なんだか知らないけど走ってきたの。鐘撞堂のところまでいったら、一ぺんで帰りたくなったの。
母 へんな子だね。じゃあ、もうお祭にいかないの。
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