二ひきの蛙
新美南吉

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)蛙《かえる》
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 緑の蛙《かえる》と黄色の蛙《かえる》が、はたけのまんなかでばったりゆきあいました。
「やあ、きみは黄色だね。きたない色だ。」
と緑の蛙《かえる》がいいました。
「きみは緑だね。きみはじぶんを美しいと思っているのかね。」
と黄色の蛙《かえる》がいいました。
 こんなふうに話しあっていると、よいことは起《お》こりません。二ひきの蛙《かえる》はとうとうけんかをはじめました。
 緑の蛙《かえる》は黄色の蛙《かえる》の上にとびかかっていきました。この蛙《かえる》はとびかかるのが得意《とくい》でありました。
 黄色の蛙《かえる》はあとあしで砂《すな》をけとばしましたので、あいてはたびたび目玉から砂《すな》をはらわねばなりませんでした。
 するとそのとき、寒い風がふいてきました。
 二ひきの蛙《かえる》は、もうすぐ冬のやってくることをおもいだしました。蛙《かえる》たちは土の中にもぐって寒い冬をこさねばならないのです。
「春になったら、このけんかの勝負《しょうぶ》をつける。」
といって、緑の蛙
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