子どものすきな神さま
新美南吉
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)笛《ふえ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|列《れつ》にならんで
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子どものすきな小さい神さまがありました。いつもは森の中で、歌をうたったり笛《ふえ》をふいたりして、小鳥やけものと遊んでいましたが、ときどき人のすんでいる村へ出てきて、すきな子どもたちと遊ぶのでした。
けれどこの神さまは、いちどもすがたをみせたことがないので、子どもたちにはちっともわかりませんでした。
雪がどっさりふったつぎの朝、子どもたちはまっしろな野っぱらで遊んでいました。するとひとりの子どもが、
「雪の上に顔をうつそうよ。」
といいました。
そこで十三人の子どもたちは、腰《こし》をかがめてまるい顔をまっしろな雪におしあてました。そうすると、子どもたちのまるい顔は、一|列《れつ》にならんで雪の上にうつったのでした。
「一、二、三、四、……」
とひとりの子どもが顔のあとをかぞえてみました。
どうしたことでしょう。十四ありました。子どもは十三人しかいないのに、顔のあとが十四あるわけがあり
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