ません。
きっと、いつものみえない神さまが、子どもたちのそばにきているのです。そして神さまも、子どもたちといっしょに顔を雪の上にうつしたのにちがいありません。
いたずらずきの子どもたちは、顔をみあわせながら、目と目で、神さまをつかまえようよ、とそうだんしました。
「兵隊《へいたい》ごっこしよう。」
「しようよ、しようよ。」
そうして、いちばんつよい子が大将《たいしょう》になり、あとの十二人が兵隊《へいたい》になって、一|列《れつ》にならびました。
「きをつけッ。ばんごうッ。」
と大将《たいしょう》がごうれいをかけました。
「一ッ。」
「二ッ。」
「三ッ。」
「四ッ。」
「五ッ。」
「六ッ。」
「七ッ。」
「八ッ。」
「九ッ。」
「十ッ。」
「十一ッ。」
「十二ッ。」
と十二人の兵隊《へいたい》がばんごうをいってしまいました。そのとき、だれのすがたもみえないのに、十二番目の子どものつぎで、
「十三ッ。」
といったものがありました。玉をころがすようなよい声でした。
その声をきくと子どもたちは、
「それ、そこだッ。神さまをつかまえろッ。」
といって、十二番目の子どものよこをとりまきま
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