手袋を買いに
新美南吉

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)狐《きつね》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)十|米《メートル》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから2字下げ]
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 寒い冬が北方から、狐《きつね》の親子の棲《す》んでいる森へもやって来ました。
 或朝《あるあさ》洞穴《ほらあな》から子供の狐が出ようとしましたが、
「あっ」と叫んで眼《め》を抑《おさ》えながら母さん狐のところへころげて来ました。
「母ちゃん、眼に何か刺さった、ぬいて頂戴《ちょうだい》早く早く」と言いました。
 母さん狐がびっくりして、あわてふためきながら、眼を抑えている子供の手を恐る恐るとりのけて見ましたが、何も刺さってはいませんでした。母さん狐は洞穴の入口から外へ出て始めてわけが解《わか》りました。昨夜のうちに、真白な雪がどっさり降ったのです。その雪の上からお陽《ひ》さまがキラキラと照《てら》していたので、雪は眩《まぶ》しいほど反射していたのです。雪を知らなかった子供の狐は、あまり強い反射をうけたので、眼に何か刺さった
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