ん》だけ宿《やど》をかしてください。」とひとりの女がいいました。
すると、奥《おく》から、
「どうぞ、むさい[#「むさい」に傍点]ところですが、ゆっくり休んでください。」と魔女《まじょ》がやさしい声でいいました。そこで三人は、中へはいって休みました。
よく朝、巨男《おおおとこ》が眼《め》をさましてみると、ふたりの女は、黒い鳥に、お姫《ひめ》さまは白鳥にかわっていました。それは、魔女《まじょ》が、魔法《まほう》でそうしたのです。
魔女《まじょ》は、巨男《おおおとこ》のとめるのもかまわず、三|羽《ば》の鳥を、窓《まど》から投げ出してやりました。三羽の鳥は飛んでいきました。けれど、白鳥は、夕方になると悲しげに鳴いて魔女《まじょ》の家に帰ってきました。巨男《おおおとこ》は不憫《ふびん》に思って、こっそりと白鳥を飼《か》ってやることにしました。昼間は野原へ放ってやって、夜は自分のベッドの中でねさせました。
巨男《おおおとこ》が、大きくなるにつれて魔女《まじょ》は、だんだん年をとって、ついに動けなくなりました。それで、毎日ベッドの上に横たわって、息子《むすこ》の巨男《おおおとこ》に魔法《
前へ
次へ
全11ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
新美 南吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング