巨男の話
新美南吉
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)巨男《おおおとこ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)三|羽《ば》の鳥
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#「ほら」に傍点]
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巨男《おおおとこ》とお母さんの住んでいたところはここからたいへん遠くのある森の中でした。
巨男《おおおとこ》のお母さんはおそろしい魔女《まじょ》でした。ほら[#「ほら」に傍点]鷲《わし》のような高い鼻や、蛇《へび》のような鋭《するど》い眼《め》を持ったあのおそろしい魔女《まじょ》でした。
それはあるお月夜のことでしたよ。
魔女《まじょ》と巨男《おおおとこ》がねむりについたころ、だれか家の外から戸をたたきました。巨男《おおおとこ》が起きていって戸をあけてみると、ふたりの女が、ひとりの少女をつれて立っていたのです。
「この方は、この国の王女様です。私たちは侍女《じじょ》なんです。今日《きょう》、森へ遊びにお姫様《ひめさま》をおつれ申《もう》しましたところ、道にまよってとうとうここへきてしまいました。どうか、今晩《こんば
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