らせん。しゃっくり[#「しゃっくり」に傍点]がもうあと一|日《にち》つづくと、わしが死《し》ぬそうだが、死《し》んでもそいつは許《ゆる》さぬ。」
と、がんこにいいました。
海蔵《かいぞう》さんは、こんな死《し》にかかった人《ひと》と争《あらそ》ってもしかたがないと思《おも》って、しゃっくり[#「しゃっくり」に傍点]にきくおまじないは、茶《ちゃ》わんに箸《はし》を一|本《ぽん》のせておいて、ひといきに水《みず》をのんでしまうことだと教《おし》えてやりました。
門《もん》を出《で》ようとすると、老人《ろうじん》の息子《むすこ》さんが、海蔵《かいぞう》さんのあとを追《お》ってきて、
「うちの親父《おやじ》は、がんこでしようがないのですよ。そのうち、私《わたし》の代《だい》になりますから、そしたら私《わたし》があなたの井戸《いど》を掘《ほ》ることを承知《しょうち》してあげましょう。」
といいました。
海蔵《かいぞう》さんは喜《よろこ》びました。あの様子《ようす》では、もうあの老人《ろうじん》は、あと二、三|日《にち》で死《し》ぬに違《ちが》いない。そうすれば、あの息子《むすこ》があとをつ
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