牛《うし》をつないだ椿《つばき》の木《き》
新美南吉《にいみなんきち》
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)牛《うし》をつないだ椿《つばき》の木《き》
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)一|町《ちょう》ばかり山《やま》に
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、底本のページと行数)
(例)しだやぜんまい[#「しだ」「ぜんまい」に傍点]の上《うえ》
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一
山《やま》の中《なか》の道《みち》のかたわらに、椿《つばき》の若木《わかぎ》がありました。牛曳《うしひ》きの利助《りすけ》さんは、それに牛《うし》をつなぎました。
人力曳《じんりきひ》きの海蔵《かいぞう》さんも、椿《つばき》の根本《ねもと》へ人力車《じんりきしゃ》をおきました。人力車《じんりきしゃ》は牛《うし》ではないから、つないでおかなくってもよかったのです。
そこで、利助《りすけ》さんと海蔵《かいぞう》さんは、水《みず》をのみに山《やま》の中《なか》にはいってゆきました。道《みち》から一|町《ちょう》ばかり山《やま》にわけいった
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