――存在しないと私が思つた時、私は存在しないのだ。KもMも存在してゐないと思つた時、私に於てKもMも存在してゐないのだ。牛が人間より頭がいゝと思つた時、牛は人間より非常に頭がいゝ。

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 [#ここから横組み]1+2=3 A=B ナルトキ A+C=B+C 2>1[#ここで横組み終わり]
 私達が數學の問題を解く時、若し上のやうな公理が存しなかつたら、問題がとけるだらうか。私達はいつも無意識の裡にそれ等を眞として數學のプロブレムを取扱つて來た。が若し一度 [#ここから横組み]1+2=3 2>1[#ここで横組み終わり] なる事に疑をもつたらどんな簡單な問題も解く事が出來ない。[#ここから横組み]2>1[#ここで横組み終わり] を眞としてかゝればこそどんな複雜なものも解けるのだ。では、[#ここから横組み]1+2=3 2>1[#ここで横組み終わり] とは何か。私達はこれを「信仰」と云ふ詞に解釋しよう。一點の疑もいだかない信仰と云はう。[#ここから横組み]1+2=3[#ここで横組み終わり] が數學の問題に解決を與へる樣に、信仰は人生の問題に解決を與へるのだ。


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