うしょう》をたっていたが、私が中学を出たときおりがあって手紙のやりとりをし、あいびきもした。しかし彼女《かのじょ》はそれまで私が心の中で育てていたツルとはたいそうちがっていて、普通《ふつう》のおろかな虚栄心《きょえいしん》の強い女であることがわかり、ひどい幻滅《げんめつ》を味わったのは、ツルがかくしたようにみせかけたあの花についての事情《じじょう》と何か似《に》ていてあわれである。



底本:「花をうめる 新美南吉童話作品集5」てのり文庫、大日本図書
   1989(平成1)年4月26日第1刷発行
底本の親本:「校定 新美南吉全集」大日本図書
初出:「哈爾賓日日新聞」
   1939(昭和14)年
入力:鈴木厚司
校正:佳代子
2004年2月18日作成
青空文庫作成ファイル:
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