だいく》の修業《しゅぎょう》を[#「修業《しゅぎょう》を」は底本では「修業《しゅぎょう》」]していたのでありました。
「さあ、みんな、いけ。わしは親方《おやかた》だから、ここで一服《いっぷく》すいながらまっている。」
そこで盗人《ぬすびと》の弟子《でし》たちが、|釜右ヱ門《かまえもん》は釜師《かまし》のふりをし、海老之丞《えびのじょう》は錠前屋《じょうまえや》のふりをし、|角兵ヱ《かくべえ》は獅子《しし》まいのように笛《ふえ》をヒャラヒャラ鳴《な》らし、鉋太郎《かんなたろう》は大工《だいく》のふりをして、花《はな》のき村《むら》にはいりこんでいきました。
かしらは弟子《でし》どもがいってしまうと、どっかと川《かわ》ばたの草《くさ》の上《うえ》に腰《こし》をおろし、弟子《でし》どもに話《はな》したとおり、たばこをスッパ、スッパとすいながら、盗人《ぬすびと》のような顔《かお》つきをしていました。これは、ずっとまえから火《ひ》つけや盗人《ぬすびと》をして来《き》たほんとうの盗人《ぬすびと》でありました。
「わしも昨日《きのう》までは、ひとりぼっちの盗人《ぬすびと》であったが、今日《きょう
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