べえじし》とが、それぞれべつの方《ほう》へ出《で》ていきました。四|人《にん》はうつむきがちに、歩《ある》いていきました。かれらはかしらのことを考《かんが》えていました。よいかしらであったと思《おも》っておりました。よいかしらだから、最後《さいご》にかしらが「盗人《ぬすびと》にはもうけっしてなるな。」といったことばを、守《まも》らなければならないと思《おも》っておりました。
 |角兵ヱ《かくべえ》は川《かわ》のふちの草《くさ》の中《なか》から笛《ふえ》を拾《ひろ》ってヒャラヒャラと鳴《な》らしていきました。

       四

 こうして五|人《にん》の盗人《ぬすびと》は、改心《かいしん》したのでしたが、そのもとになったあの子供《こども》はいったい誰《だれ》だったのでしょう。花《はな》のき村《むら》の人々《ひとびと》は、村《むら》を盗人《ぬすびと》の難《なん》から救《すく》ってくれた、その子供《こども》を探《さが》して見《み》たのですが、けっきょくわからなくて、ついには、こういうことにきまりました、――それは、土橋《どばし》のたもとにむかしからある小《ちい》さい地蔵《じぞう》さんだろ
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