王さまと靴屋
新美南吉

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)靴屋《くつや》
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 ある日、王さまはこじきのようなようすをして、ひとりで町へやってゆきました。
 町には小さな靴屋《くつや》がいっけんあって、おじいさんがせっせと靴《くつ》をつくっておりました。
 王さまは靴屋《くつや》の店にはいって、
「これこれ、じいや、そのほうはなんという名まえか。」
とたずねました。
 靴屋《くつや》のじいさんは、そのかたが王さまであるとは知りませんでしたので、
「ひとにものをきくなら、もっとていねいにいうものだよ。」
と、つっけんどんにいって、とんとんと仕事をしていました。
「これ、名まえはなんと申《もう》すぞ。」
とまた王さまはたずねました。
「ひとにくちをきくには、もっとていねいにいうものだというのに。」
とじいさんはまた、ぶっきらぼうにいって、仕事をしつづけました。
 王さまは、なるほどじぶんがまちがっていた、と思って、こんどはやさしく、
「おまえの名まえを教えておくれ。」
とたのみました。
「わしの名まえは、マギステルだ。」
とじいさんは、やっと名まえを教えま
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