した。
そこで王さまは、
「マギステルのじいさん、ないしょのはなしだが、おまえはこの国の王さまはばかやろうだとおもわないか。」
とたずねました。
「おもわないよ。」
とマギステルじいさんはこたえました。
「それでは、こゆびのさきほどばかだとはおもわないか。」
と王さまはまたたずねました。
「おもわないよ。」
とマギステルじいさんはこたえて、靴《くつ》のかかとをうちつけました。
「もしおまえが、王さまはこゆびのさきほどばかだといったら、わしはこれをやるよ。だれもほかにきいてやしないから、だいじょうぶだよ。」
と王さまは、金の時計をポケットから出して、じいさんのひざにのせました。
「この国の王さまがばかだといえばこれをくれるのかい。」
とじいさんは、金づちをもった手をわきにたれて、ひざの上の時計をみました。
「うん、小さい声で、ほんのひとくちいえばあげるよ。」
と王さまは手をもみあわせながらいいました。
するとじいさんは、やにわにその時計をひっつかんで床《ゆか》のうえにたたきつけました。
「さっさと出てうせろ。ぐずぐずしてるとぶちころしてしまうぞ。不忠者《ふちゅうもの》めが。この国の王
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