はしんたのむね[#「しんたのむね」に傍点]から村《むら》へ帰《かえ》り、新《しん》五|年《ねん》以上《いじょう》の者《もの》が、町《まち》までついてゆくことにきまった。
しんたのむね[#「しんたのむね」に傍点]で、十五|人《にん》ばかりの小《ちい》さい者《もの》がうしろに残《のこ》った。ところが、そこでちょっとした争《あらそ》いが起《お》こった。新《しん》四|年《ねん》だから、帰《かえ》らねばならないはずの比良夫君《ひらおくん》が、帰《かえ》ろうとしなかったからだ。五|年《ねん》以上《いじょう》の者《もの》が、帰《かえ》れ帰《かえ》れ、というと、比良夫君《ひらおくん》はいうのだった。
「俺《おれ》あ、今《いま》四|年《ねん》だけれど、一|年《ねん》のときいっぺんすべっとる(落第《らくだい》している)で、年《とし》は五|年《ねん》とおんなじだ。」
なるほど、それも一つのりくつである。しかし五|年《ねん》以上《いじょう》の者《もの》は、そんなりくつは通《とお》させなかった。とうとう腕《うで》ずくで解決《かいけつ》をつけることになった。
松男君《まつおくん》が比良夫君《ひらおくん》に引
前へ
次へ
全30ページ中18ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
新美 南吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング