うまれて 來る 雀達
新美南吉
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【テキスト中に現れる記号について】
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(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「芻+鳥」、第4水準2−94−31]
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その 雀は びつこでした。まだ やつと 飛べるやうに なつたばかりの 頃、いたづらな 少年に とらへられて 片足を ひもで 固く 縛られましたため か弱い 足は きづついて しまつたのでした。
その びつこの 雀が 麥畑の 黄く なる 頃 或る 家の 軒に 三つの 卵を うみました。
雀は うれしくて うれしくて、三つの 卵を 胸の 下に ぢつと だきしめて ゐました。
忙しい 蜜蜂が 飛んで 來ました。
「雀さん 今日は」と 蜜蜂は 軒の 巣を のぞいて いひました。
「わたし 卵を うんだの。」と 雀は いつて 胸の 下から 卵を 押し出して 見せました。
「ほゝう、こいつは すばらしい。卵が かへつたら お祝ひに 蜜柑から とつた 上等の 蜜を あげよかね。」と 蜜蜂は いひました。それから ふと、
「あなた
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