あし
新美南吉
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)椅子《いす》がある。
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)このとんま[#「とんま」に傍点]めが。
−−
二ひきの馬が、まどのところでぐうるぐうるとひるねをしていました。
すると、すずしい風がでてきたので、一ぴきがくしゃめをしてめをさましました。
ところが、あとあしがいっぽんしびれていたので、よろよろとよろけてしまいました。
「おやおや。」
そのあしに力をいれようとしても、さっぱりはいりません。
そこでともだちの馬をゆりおこしました。
「たいへんだ、あとあしをいっぽん、だれかにぬすまれてしまった。」
「だって、ちゃんとついてるじゃないか。」
「いやこれはちがう。だれかのあしだ。」
「どうして。」
「ぼくの思うままに歩かないもの。ちょっとこのあしをけとばしてくれ。」
そこで、ともだちの馬は、ひづめでそのあしをぽォんとけとばしました。
「やっぱりこれはぼくのじゃない、いたくないもの。ぼくのあしならいたいはずだ。よし、はやく、ぬすまれたあしをみつけてこよう。」
そこで、その
次へ
全3ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
新美 南吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング