行《がいこくぶぎょう》等は近海巡視《きんかいじゅんし》など称し幕府の小軍艦に乗《じょう》じて頻々《ひんぴん》公使の許《もと》に往復《おうふく》し、他の外国人の知《しら》ぬ間に約束《やくそく》成立《せいりつ》して発表《はっぴょう》したるは、すなわち横須賀造船所《よこすかぞうせんじょ》の設立にして、日本政府は二百四十万|弗《ドル》を支出《ししゅつ》し、四年間|継続《けいぞく》の工事としてこれを経営《けいえい》し、技師職工は仏人を雇《やと》い、随《したがっ》て器械《きかい》材料《ざいりょう》の買入までも仏人に任《まか》せたり。
小栗等の目的《もくてき》は一意《いちい》軍備の基《もとい》を固《かた》うするがために幕末|財政《ざいせい》窮迫《きゅうはく》の最中《さいちゅう》にもかかわらず奮《ふるっ》てこの計画《けいかく》を企《くわだ》てたるに外ならずといえども、日本人がかかる事には全く不案内《ふあんない》なる時に際し、これを引受《ひきう》けたる仏人の利益《りえき》は想《おも》い見るべし。ロセツはこれがために非常《ひじょう》に利したりという。
かくて一方には造船所の計画《けいかく》成《な》ると
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