るの筆法《ひっぽう》に徴《ちょう》して想像《そうぞう》するに足《た》るべし。
 されば各国公使等の挙動《きょどう》を窺《うかが》えば、国際の礼儀《れいぎ》法式《ほうしき》のごとき固《もと》より眼中《がんちゅう》に置《お》かず、動《やや》もすれば脅嚇手段《きょうかくしゅだん》を用い些細《ささい》のことにも声を大《だい》にして兵力を訴《うった》えて目的《もくてき》を達すべしと公言するなど、その乱暴狼籍《らんぼうろうぜき》驚くべきものあり。外国の事情《じじょう》に通ぜざる日本人はこれを見て、本国政府の意向《いこう》も云々《うんぬん》ならんと漫《みだり》に推測《すいそく》して恐怖《きょうふ》を懐《いだ》きたるものありしかども、その挙動《きょどう》は公使一個の考《かんがえ》にして政府の意志《いし》を代表《だいひょう》したるものと見るべからず。すなわち彼等の目的《もくてき》は時機《じき》に投じて恩威《おんい》並《なら》び施《ほどこ》し、飽《あ》くまでも自国の利益《りえき》を張《は》らんとしたるその中には、公使始めこれに附随《ふずい》する一類《いちるい》の輩《はい》にも種々の人物《じんぶつ》ありて、
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