えき》の一点にして、或《あるい》は商人のごときは兵乱《へいらん》のために兵器《へいき》を売付《うりつ》くるの道を得てひそかに喜《よろこ》びたるものありしならんといえども、その隙《すき》に乗《じょう》じて政治的|干渉《かんしょう》を試《こころ》みるなど企《くわだ》てたるものはあるべからず。右のごとく長州の騒動《そうどう》に対して痛痒《つうよう》相《あい》関《かん》せざりしに反し、官軍の東下に引続《ひきつづ》き奥羽の戦争《せんそう》に付き横浜外人中に一方ならぬ恐惶《きょうこう》を起したるその次第《しだい》は、中国辺にいかなる騒乱《そうらん》あるも、ただ農作《のうさく》を妨《さまた》ぐるのみにして、米の収穫《しゅうかく》如何《いかん》は貿易上に関係なしといえども、東北地方は我国の養蚕地《ようさんち》にして、もしもその地方が戦争のために荒《あ》らされて生糸の輸出《ゆしゅつ》断絶《だんぜつ》する時は、横浜の貿易に非常の影響《えいきょう》を蒙《こうむ》らざるを得ず、すなわち外人の恐惶《きょうこう》を催《もよお》したる所以《ゆえん》にして、彼等の利害上、内乱《ないらん》に干渉《かんしょう》してますま
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