すその騒動を大ならしむるがごとき思《おも》いも寄《よ》らず、ただ一日も平和回復《へいわかいふく》の早《はや》からんことを望みたるならんのみ。
また更《さ》らに一歩を進《すす》めて考《かんが》うれば、日本の内乱に際し外国|干渉《かんしょう》の憂《うれい》ありとせんには、王政維新《おうせいいしん》の後に至りてもまた機会《きかい》なきにあらず。その機会はすなわち明治十年の西南戦争《せいなんせんそう》なり。当時|薩兵《さっぺい》の勢《いきおい》、猛烈《もうれつ》なりしは幕末《ばくまつ》における長州の比《ひ》にあらず。政府はほとんど全国の兵を挙《あ》げ、加《くわ》うるに文明|精巧《せいこう》の兵器《へいき》を以てして尚《な》お容易《ようい》にこれを鎮圧《ちんあつ》するを得ず、攻城《こうじょう》野戦《やせん》凡《およ》そ八箇月、わずかに平定《へいてい》の功《こう》を奏《そう》したれども、戦争中国内の有様《ありさま》を察《さっ》すれば所在《しょざい》の不平士族《ふへいしぞく》は日夜、剣《けん》を撫《ぶ》して官軍の勢《いきおい》、利ならずと見るときは蹶起《けっき》直《ただち》に政府に抗《こう》せんと
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