こや、逃げ無いでも可いわ。心を落付けいやい。某誠心を籠めて大神に祈りたれば汝が罪は許されたり。――(衆に向ひ)貴き御堂の門扉を撃ち天主の威霊を汚す罪によりて、思ふだにも恐ろしき彼の暗黒のいんへるの[#「いんへるの」に傍点]、解けば即ち焦熱地獄のその底に落ちゆく可き所なるを、でいゆす[#「でいゆす」に傍点]の御教《みをしへ》この国に入りてより、未だ間《ま》もなき事なれば、無智|盲昧《まうまい》[#「盲昧」はママ]の蒼民《たみくさ》の疑ひ怪しむそれ故に、心にもなき大罪に陥らむを憐み、某《それがし》祈念を凝《こら》したれば彼の罪も許されたのぢや。皆々有り難き御恵の御礼申上げたが可《よ》からうぞ。――さんた[#「さんた」に傍点]、まりや[#「まりや」に傍点]。さんた[#「さんた」に傍点]、まりや[#「まりや」に傍点]。波羅葦増雲善主麿《はらいそうぜんしゆまろ》。
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皆々さんたまりや[#「さんたまりや」に傍点]、じええずす[#「じええずす」に傍点]、まりや[#「まりや」に傍点]などよぶ。
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うかれ男 や
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