嫂
素木しづ
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)短篇集を袂《たもと》に入れて
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)森本先生が一|言《こと》彼女に
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定、誤植の可能性等
(例)彼女は一所[#「所」にママの注記]に
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)彼女は、まだ/\云いたいことがあるのを
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−
小さなモーパッサンの短篇集を袂《たもと》に入れて英語の先生からの帰り、くれてゆく春の石垣のほとりを歩きながら辰子はおかしくってならなかった。
今日ならって来た所の、フランチェスカといふわけのわからない女が、“What does in[#「in」はママ] matter to me ?”と、“Not at all”以外に、なに事もいはず、常に怒ってゐるのか、真面目になってゐるのか、わからないやうな態度と表情をしてゐるのが、をかしくってならなかった。
そして彼女が嫂《あね》の態度に対する不満と自分をあはれむかなしさと
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