新よそほひや、楽しみてさざめく我等、
われらとて地《つち》の臥所《ふしど》の下びにしづみ
おのが身を臥所とすらめ、誰がために。
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[#地付き]森亮氏訳「ルバイヤツト」より
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燕
門《かど》の外《と》の ひかりまぶしき 高きところに 在りて 一羽
燕《つばめ》ぞ鳴く
単調にして するどく 翳《かげり》なく
あゝ いまこの国に 到り着きし 最初の燕《つばめ》ぞ 鳴く
汝 遠くモルツカの ニユウギニヤの なほ遥かなる
彼方《かなた》の空より 来りしもの
翼《つばさ》さだまらず 小足ふるひ
汝がしき鳴くを 仰ぎきけば
あはれ あはれ いく夜凌げる 夜《よ》の闇と
羽《はね》うちたたきし 繁き海波《かいは》を 物語らず
わが門《かど》の ひかりまぶしき 高きところに 在りて
そはただ 単調に するどく 翳《かげり》なく
あゝ いまこの国に 到り着きし 最初の燕《つばめ》ぞ 鳴く
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砂の花 富士正晴に
松脂は つよくにほつて
砂のご門 砂のお家
いちんち 坊やは砂場にゐる
黄色い つは[#「つは」に傍点]の花 挿して
それが
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