大小《だいせう》も遠近《ゑんきん》もなくほうけたり未生《みしやう》の我《われ》や斯くてありけむ
夢
何者か我に命じぬ割《わ》り切れぬ數を無限に割りつゞけよと
無限なる循環小數いでてきぬ割れども盡きず恐しきまで
無限なる空間を墮《お》ちて行きにけり割り切れぬ數の呪を負ひて
我が聲に驚き覺めぬ冬の夜のネルの寢衣《ねまき》に汗のつめたさ
無限てふことの恐《かし》こさ夢さめてなほ暫《しま》らくを心慄へゐる
この夢は幼き時ゆいくたびかうなされし夢恐しき夢
今|思《も》へば夢の中にてこの夢を馴染《なじみ》の夢と知れりし如し
ニイチェもかゝる夢見て思ひ得しかツァラツストラが永劫囘歸
むかしわれ翅《はね》をもぎける蟋蟀《こほろぎ》が夢に來りぬ人の言葉《くち》きゝて
何故《なにゆゑ》か生埋にされ叫べども喚《わめ》けど呼べど人は來らず
叫べども人は來らず暗闇《くらやみ》に足の方《かた》より腐《くさ》り行く夢
夢さめて再び眠られぬ時よめる歌
何處《どこ》やらに魚族奴等《いろくづめら》が涙する燻製《くんせい》にほふ夜半《よは》は乾《かわ》きて
放歌
我が歌は拙《つた》なかれど
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