しといふを
憐れみ讚ふるの歌
ぬばたまの宇宙の闇に一ところ明るきものあり人類の文化
玄々《げんげん》たる太沖《たいちゆう》の中に一ところ温《あたた》かきものありこの地球《ほし》の上に
おしなべて暗昧《くら》きが中に燦然と人類の叡智光るたふとし
この地球《ほし》の人類《ひと》の文化の明るさよ背後《そがひ》の闇に浮出て美し
たとふれば鑛脈《くわうみやく》にひそむ琅※[#「王+干」、第3水準1−87−83]《らうかん》か愚昧の中に叡智光れる
幾萬年人|生《あ》れ繼ぎて築《きづ》きてしバベルの塔の崩れむ日はも
人間の夢も愛情《なさけ》も亡びなむこの地球《ほし》の運命《さだめ》かなしと思ふ
學問や藝術《たくみ》や叡智《ちゑ》や戀愛情《こひなさけ》この美しきもの亡びむあはれ
いつか來む滅亡《ほろび》知れれば人間《ひと》の生命《いのち》いや美しく生きむとするか
みづからの運命《さだめ》知りつゝなほ高く上《のぼ》らむとする人間《ひと》よ切なし
弱き蘆弱きがまゝに美しく伸びんとするを見れば切なしや
人類の滅亡《ほろび》の前に凝然と懼れはせねど哀しかりけり
しかすがになほ我はこの生を愛す喘息の夜
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