環礁
――ミクロネシヤ巡島記抄――
中島敦
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)蛸樹《たこ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)古代|希臘《ギリシャ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「奚+隹」、第3水準1−93−66]
〔〕:アクセント分解された欧文をかこむ
(例)〔retrouve'e〕
アクセント分解についての詳細は下記URLを参照してください
http://aozora.gr.jp/accent_separation.html
−−
寂しい島
寂しい島だ。
島の中央にタロ芋田が整然と作られ、その周囲を蛸樹《たこ》やレモンや麺麭《パン》樹やウカルなどの雑木の防風木が取巻いている。その、もう一つ外側に椰子《ヤシ》林が続き、さてそれからは、白い砂浜――海――珊瑚礁《さんごしょう》といった順序になる。美しいけれども、寂しい島だ。
島民の家は西岸の椰子林の間に散らばっている。人口は百七、八十もあろうか。もっと小
次へ
全83ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
中島 敦 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング