き込んでしまうことになりますよ。同情の心を起して、わたしを蔑まないでください。私の話を聞いてください。人間の法律によれば、いくら血を浴びた犯罪者でも、罪の宣告を受ける前に、自分を擁護するために話をすることを許されているはずです。お聞きなさい、フランケンシュタイン。あんたは人を殺したといってわたしを責める。それなのにまた、良心を満足させながら、自分の造ったものを殺したがっている。おお、人間の永遠の正義をほめたたえよ、ですよ! といって、わたしを見のがしてくれというのじゃなく、わたしが言うのを聞いてくれというのです。そのうえで、できることなら、また、そうしようと思うのだったら、あんたの手でこしらえたものを滅しなさい。」
「思い返してもぞっとするような出来事を、自分が不幸のもとになり作り手になったあの事情を、なんだって思い出せるか。憎らしい畜生め、おまえがはじめて光を見たあの日を呪うよ! おまえに僕を、たといようもなく不幸にしてしまった。おまえに対して僕が正しいか正しくないかを考える力が、おまえのおかげでなくなってしまったのだ。行っちまえ! おまえのいやな姿を見えないようにしてくれ。」
「こ
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