ネ学的研究をなすことは稀である。一般に人は、役立つという目的を研究に求めている。そしてこの目的を充《みた》し得るのは、政策によってのみである。」
一三 しかし彼は科学と政策との間に置くべき区別を同様に強く主張し、かつこの区別を明らかにするために最後の注意を与えているが、これもまた引用の価値がある。彼はいう、「科学と政策とはしばしば多数の接触点をもっているとしても、政策と科学の範囲と輪廓とが同一であるのには、よほど多くの接触点が無ければならぬと考えられるのであって、それほどに右に述べてきた区別が強調せられる。科学が提供する理論は種々の政策によって利用せられることがあり得る。広がりの関係の学問である幾何学は、測量師・技師・砲術家・航海家・建築家の仕事を照し指導する。化学は薬剤師・染物屋・多数の工業に援助を与えている。物理学が提供してくれた一般的理論を、種々の政策がいかに利用しつつあるかを誰が正確にいい得るであろうか。反対に政策は、多くの科学によって提供せられるべき理論から光明を得ることが出来る。ただ一つの例だけを引けば医学すなわち治療の技術は解剖学・生理学・化学・物理学・植物学の理論と結
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