般に社会組織のすべての事柄においてと同じく、人間は善と悪との選択をなし得て、悪から次第に善へ向いつつあるのである。だから人々は組合制度、統制の制度、公定価格の制度から、商工業自由のシステム、レッセ・フェール、レッセ・パッセのシステムに、奴隷制度から賃銀制度に移ってきた。最近の制度は古い制度に優っているが、こうなったのは、これらが古い制度よりもより自然的であるが故ではなく(これらは共に人為的であり、前者は後者より人為的である。けだし新しい制度は古い制度の後にしか現われないから)、利益と正義とにより多く合致しているからである。自由放任が必要とされるのは、この合致の証明をなした後においてのみである。社会主義的制度が排斥せられねばならぬとしたら、それは利益と正義とに相反する制度でなければならぬ。
八 スミスの定義は不完全であるに過ぎないが、セイの定義はこれに劣り、不正確である。またこの定義から出てくる分け方も全く経験的であると、私は附言しておく。所有権の理論、租税の理論は実はまず孤立して考えられた社会人の間の、次に国家として集団的に考えられた人の間の富の分配の唯一の理論の各半面に過ぎないもの
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