五九 次に第二の解答について見るに、セイは彼の著作の「経済学問答」(〔Cate'chisme d'e'conomie politique〕)の第二章において、次のように書いている。
「何故《なにゆえ》に一つの物の利用はこの物に価値を生ぜしめるかといえば、物がもっている利用は、この物を望ましい物とならしめ、かつこの物の獲得のために人々をして犠牲を払わしめるからである。何らの役にも立たぬ物を獲得するために、何らかの物を与えようとする人はない。これに反し、自分が欲望を感ずる物を獲得するためには、人々は、自分が所有する物のある量(例えば貨幣の一定量)を与える。価値を生ぜしめるものはこれである。」
 これは、確かに価値の原因の証明の一つの試みである。だがこの試みは成功していないといわねばならぬ。「物の利用はこの物を望ましいものとならしめる」ことはもちろんである。かつ「この利用は、人々をして、この物を所有するためにある犠牲を払わしめる。」しかしこれは一様にはいわれ得ない。利用は、人々がこの利用を得るために犠牲を費さねばならないときにのみ、人々をしてこれを払わしめるに止まる。「人は、何らの役にも立たな
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