には次の関係があった。
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P'=Q'π, R'=S'ρ, K'π=L'ρ ……
[#ここで字下げ終わり]
(B)の出現の後にもこの均衡が存在するためには、価格 μ, π, ρ と量 M, N, P, Q, R, S, F, G, H, J, K, L ……(第一四八節)との間に、μの決定方法によって有効に得られる関係
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M=Nμ, Fμ=Gπ, Hμ=Jρ ……
[#ここで字下げ終わり]
がなければならないのみでなく、また次の関係が成立せねばならぬ。
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P=Qπ, R=Sρ, Kπ=Lρ ……
[#ここで字下げ終わり]
ところでこれらの後の方程式を最初の方程式と比較して、容易に
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[#式(fig45210_123.png)入る]
[#ここで字下げ終わり]
が得られる。
よって、――一般均衡状態における市場に新しい一商品が現われるとすると[#「一般均衡状態における市場に新しい一商品が現われるとすると」に傍点]、この商品の価格は価値尺度財でなされるこの需要と価値尺度財と交換になされるその供給との均等によって決定するのであるから[#「この商品の価格は価値尺度財でなされるこの需要と価値尺度財と交換になされるその供給との均等によって決定するのであるから」に傍点]、市場の一般均衡が妨げられず[#「市場の一般均衡が妨げられず」に傍点]、定まった価格が決定的であるためには[#「定まった価格が決定的であるためには」に傍点]、市場に新商品の出現する以前及び後において[#「市場に新商品の出現する以前及び後において」に傍点]、元の商品の相互の需要または供給が同じ比例を保っていなければならぬ[#「元の商品の相互の需要または供給が同じ比例を保っていなければならぬ」に傍点]。
この条件は、新商品が現われる場合にも、または元の商品の一つが価格騰貴をなす場合にも、絶対的に充されることはほとんどない。従って価格μで(B)の需要と供給とは等しく、価格 π, ρ における(A)、(C)、(D)……の需要と供給とは不均等となるであろう。従って一般的な場合であっては、需要が供給より大となった商品の価格を騰貴せしめねばならぬし、供給が需要より大となった商品の価格を下落せしめねばならぬ(第一三〇節)。かくて(B)の価格がμとは少しく異る一般均衡状態に達するのである。
今問題となる条件は絶対的にはほとんど全く充されないのみでなく、また商品(B)が他のある商品(C)または(D)の職能を果しこれらに代用され得て、後者の価格を著しく下落せしめる場合を想像することが出来る。これは日々私共が見る所である。だがこの特別な場合を除き、(B)が独特の商品であるとすれば、または先に市場にあった商品のうちで、商品(B)により何ら特別な競争を受けないような商品だけしか考えないとすれば、かつこれらの商品が多数であってまた量においても多量であるとすれば、先にいったようにして作られた(B)の販売曲線及び購買曲線から生ずる価格μは、ほぼ決定的な価格であろうことを、容易に認めることが出来よう。実際この場合には、(B)と交換せられる(A)、(C)、(D)……の供給となるために向けられるこれらの商品の部分は、これら多数の商品中の各々から借りられるのではあるが、しかしこれらは極めて小さい部分であり、ことにこれら商品の各々の量に比較してはいよいよ小さい部分である。だからこれらの部分は、(B)と他のすべての商品との交換の当初の割合を著しく変化せぬであろう。
一五三 当面の問題である特殊な場合で、極めて簡単ではあるが、特に考える価値のある場合がある。それは、市場に現われた新商品のすべての所有者が、この商品のみの所有者であってもまたは同時に他の古い商品の所有者であっても、とにかく新商品のすべての量、存在するすべての量を、いかなる価格においても供給する場合である。この場合に起るせり上げの特殊な形態は、この商品の全量が一度に供給せられると仮定すれば、競売のそれである。この場合には、市場価格は、数学的には、距離 OQb[#「b」は下付き小文字] を(B)の存在量に等しからしめるような点 Qb[#「b」は下付き小文字] を通って引かれ、価格の軸に平行な直線 Qb[#「b」は下付き小文字]πb[#「b」は下付き小文字] と購買曲線 Bd[#「d」は下付き小文字]Bp[#「p」は下付き小文字] との交点πによって決定せられる。この場合に販売曲線となるものはこの平行線である。かく簡単な場合は実際においては極めてしばしばである。なぜなら商品の大部分は生産物であり、かつ一般には、生産者はその生産物の全量を売るかまたは自分のためには極めて僅少の量をしか
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