るには、右の二曲線が交わらねばならないからである。だがこれらの曲線は常に必ずしも交わらない。特に、私の例における所有者の場合には、交わらない。
 八九 この観察はまた他の重要な結果を齎《もた》らす。今、条件の方程式が充されたとし、かつ需要曲線が所有量の双曲線と点 q'b[#「b」は下付き小文字] 及び q''b[#「b」は下付き小文字][#底本では「b」は「a」](第一図)において交わると想像してみる。(B)の供給は、点 q'b[#「b」は下付き小文字] 及び q''b[#「b」は下付き小文字] の横坐標によって示される価格において、所有量 qb[#「b」は下付き小文字] に等しい。このことは、これらの価格の中間の価格においても、同様である。のみならず、方程式の組合せまたは曲線の組合せによると、中間の価格においては、(B)の供給は所有量 qb[#「b」は下付き小文字] より大であるべきであるように見える。しかし所有者は自ら所有する以上の量を供給することが不可能であるから、qb[#「b」は下付き小文字]−da[#「a」は下付き小文字]pa[#「a」は下付き小文字] は負の量であり得ないという制限を、導き入れねばならぬのはもちろんである。この条件は次のように表わされる。――二商品中の一商品の供給が所有量と等しくあり得るためには[#「二商品中の一商品の供給が所有量と等しくあり得るためには」に傍点]、この所有量の双曲線と他方の商品の需要曲線とが交わらねばならぬ[#「この所有量の双曲線と他方の商品の需要曲線とが交わらねばならぬ」に傍点]。量の双曲線は[#「量の双曲線は」に傍点]、右の交点の間にあっては[#「右の交点の間にあっては」に傍点]、需要曲線となる[#「需要曲線となる」に傍点]。
 九〇 もし、曲線 αr,1[#「r,1」は下付き小文字]αq,1[#「q,1」は下付き小文字] 及び βr,1[#「r,1」は下付き小文字]βq,1[#「q,1」は下付き小文字](第三図)が変化しないで、qb[#「b」は下付き小文字] が減少すれば、ρb[#「b」は下付き小文字] は増加し、従って[#式(fig45210_055.png)入る]は減少する。qb[#「b」は下付き小文字]=0 となるときは、ρb[#「b」は下付き小文字]=βr,1[#「r,1」は下付き小文字] であって、比[#式(fig45210_056.png)入る]は[#式(fig45210_057.png)入る]に一致する。そのときには、需要曲線 ad,1[#「d,1」は下付き小文字]ap,1[#「p,1」は下付き小文字] は、坐標軸の一部 ad,1[#「d,1」は下付き小文字]Oπ となる。
 よって、二商品の利用がその一方の商品の所有者にとって変化せず[#「二商品の利用がその一方の商品の所有者にとって変化せず」に傍点]、かつこの所有量が減少したとすれば[#「かつこの所有量が減少したとすれば」に傍点]、他方の商品の需要曲線と価格の軸との交点は坐標の原点に近づく[#「他方の商品の需要曲線と価格の軸との交点は坐標の原点に近づく」に傍点]。この所有量がゼロとなるときは[#「この所有量がゼロとなるときは」に傍点]、需要曲線は[#「需要曲線は」に傍点]、需要の軸にとられた需要せらるる商品の外延利用と[#「需要の軸にとられた需要せらるる商品の外延利用と」に傍点]、価格の軸にとられた二商品の欲望の最大の強度の比に等しい長さとによって作られる坐標軸の部分に一致する[#「価格の軸にとられた二商品の欲望の最大の強度の比に等しい長さとによって作られる坐標軸の部分に一致する」に傍点]。
 九一 反対にもし、qb[#「b」は下付き小文字] が増加すると、ρb[#「b」は下付き小文字] は減少し、従って[#式(fig45210_055.png)入る]は増加する。qb[#「b」は下付き小文字]=βq,1[#「q,1」は下付き小文字] であるときは、ρb[#「b」は下付き小文字]=0 となり、比[#式(fig45210_056.png)入る]は無限大となる。そのときには、点 ap,1[#「p,1」は下付き小文字][#「p,1」は底本では「d,1」]はO点より無限に隔ってくる。
 よって、二商品の利用がその一方の商品の所有者にとって変化せず[#「二商品の利用がその一方の商品の所有者にとって変化せず」に傍点]、かつこの所有量が増加すれば[#「かつこの所有量が増加すれば」に傍点]、他方の商品の需要曲線と価格の軸との交点は[#「他方の商品の需要曲線と価格の軸との交点は」に傍点]、坐標の原点から遠ざかる[#「坐標の原点から遠ざかる」に傍点]。この所有量が外延利用に等しくなれば[#「この所有量が外延利用に等しくなれば」に傍点]、
前へ 次へ
全143ページ中58ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ワルラス マリー・エスプリ・レオン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング