ャ文字]=Db[#「b」は下付き小文字] であると仮定すれば、二商品(A)、(B)がそれぞれ[#式(fig45210_011.png)入る]の価格で需要せられる量、供給せられる量は相等しい。各々の買手及び売手は売手または買手にちょうどその相手方を見出す。従って市場の均衡が現われる。均衡価格[#式(fig45210_007.png)入る]及び μ において、(A)の量 Da[#「a」は下付き小文字]=Oa[#「a」は下付き小文字] は(B)の量 Ob[#「b」は下付き小文字]=Db[#「b」は下付き小文字] に交換せられる。市場は終結し、二商品の所持者は相去るのである。
 四八 しかし[#式(fig45210_013.png)入る]であるとする。しからばこれら二商品の各々の供給と需要との均等はいかにして生ずるか。一見すると、先に例示した取引所における公債についてなした推論を、そのままここで繰り返し得るように思われる。けれどもそれは大なる誤である。取引所では公債の買手と売手とがあるが、この証券の価値は、それらの特定の収入の金額と資本に対する収入率とに依存する。後に述べるであろうように、もちろん公債の価格の騰貴は需要を減じ、供給を増加せざるを得ないし、その下落は需要を増加し、供給を減ぜざるを得ない。しかし今ここでは、交換者が交換する物は直接に利用を存する商品と仮定せられている(A)と(B)とであり、(A)と(B)の交換者のみが市場で相対しているのである。そしてこの事情がすべてを修正する。
 もちろん、Da[#「a」は下付き小文字] が Oa[#「a」は下付き小文字] より大であれば、pa[#「a」は下付き小文字] は騰貴せねばならぬ。(すなわち pb[#「b」は下付き小文字] は下落せねばならぬ。)また反対にもし、Db[#「b」は下付き小文字] が Ob[#「b」は下付き小文字] より大であるとすれば、pb[#「b」は下付き小文字] は高騰せねばならぬ。(pa[#「a」は下付き小文字] は下落せねばならぬ。)需要についても同様の推論をなし得る。すなわち価格が騰貴すれば、需要は増加することが出来ない、減少せざるを得ない。実際例えば一〇ヘクトリットルの燕麦に対し、五ヘクトリットルの小麦を供給する交換者、すなわち小麦で表わした価格 0.50 で一〇ヘクトリットルの燕麦を需要する交換者が、一二ヘクトリットルの小麦の所有者であるとする。小麦で表わした燕麦の価格 0.50 では、この交換者は二四ヘクトリットルの燕麦を買い得る。しかし彼は、小麦に対する欲望の事情で、一〇ヘクトリットルしか買わないとする。価格が 0.60 だとすると、二〇ヘクトリットルの燕麦しか買い得ない。この場合には、彼は、小麦に対する欲望の事情で、たかだか一〇ヘクトリットル――彼が更に富んだときにはこの量に達し得ようが――またはそれ以下にこれを限るであろうと、考えられねばならぬ。かくの如く、pa[#「a」は下付き小文字] の高騰すなわち pb[#「b」は下付き小文字] の下落は、Da[#「a」は下付き小文字] を減じ、Db[#「b」は下付き小文字] を増加せしめることしか出来ない。反対に pb[#「b」は下付き小文字] の騰貴すなわち pa[#「a」は下付き小文字] の下落は、Db[#「b」は下付き小文字] を減じ、Da[#「a」は下付き小文字] を増加することしか出来ない。しかし Oa[#「a」は下付き小文字] と Ob[#「b」は下付き小文字] とはいかに変化するか。この問に答えるのは不可能である。Oa[#「a」は下付き小文字] は Db[#「b」は下付き小文字] と pb[#「b」は下付き小文字] との積に等しい。ところでこれら二つの因子の一方の pb[#「b」は下付き小文字] が減じまたは増大すれば、他方の因子の Db[#「b」は下付き小文字] は、このことだけで増加しまたは減少する。同様に Ob[#「b」は下付き小文字] は Da[#「a」は下付き小文字] と pa[#「a」は下付き小文字] との積に等しい。ところで pa[#「a」は下付き小文字] が増加するか減少するかに従って、Da[#「a」は下付き小文字] は、このことだけで、減少しまたは増加する。従って、交換者が均衡を実現するか否かを、いかにして知るべきかが問題となる。
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    第六章 有効需要曲線と有効供給曲線。需要と供給との均等の成立

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要目 四九 価格の増加に応じて有効需要が減少するという事実。五〇、五一、五二 価格の函数としての部分的需要の曲線または方程式。五三 需要曲線は同時に供給曲線である。五四 存在量の双曲線。五五 座標軸と存在量の双曲線との間における需要
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