黶i〔marche' des produits〕)とを想像するがよい。用役の市場ではこれらの用役は地主、労働者、資本家のみによって供給せられ、消費的用役は地主、労働者、資本家によって需要せられ、生産的用役は企業者によって需要せられる。生産物の市場では生産物は企業者のみによって供給せられ、原料はこの同じ企業者によって需要せられ、消費の目的物は地主、労働者、資本家によって需要せられる。これら二つの市場においては、偶然に叫ばれた価格で、地主、労働者、資本家であって同時に消費者である者が用役を供給し、消費的用役と消費の目的物とを需要し、それにより、考えられた期間中に出来るだけ多くの利用を得ようとし、生産者である企業者は生産物を供給し、また生産的用役で表わした製造係数の割合に従って同じ期間中に処分すべき生産的用役または原料を需要する。そしてこれらの生産者である企業者は、生産物の販売価格が生産的用役から成る生産費に超過する場合には生産を拡張し、反対に生産的用役から成る生産費が生産物の販売価格を超えるときは生産を縮小する。各市場では人々は、需要が供給を超えるときは、価格を騰貴せしめ、供給が需要を超過するときは、これを下落せしめる。均衡市場価格は、各用役または生産物の需要と供給とを等しからしめる価格であり、また各生産物の販売価格を生産的用役から成る生産費に等しからしめる価格である。
 資本化の問題を解くには、貯蓄をする地主、労働者、資本家すなわち自ら供給する用役の価値の全部をあげて消費的用役及び消費目的物を需要することなく、この価値の一部をもって新資本を需要する換言すれば貯蓄する地主、労働者、資本家の存在を仮定せねばならない。そしてこれら貯蓄創造者に相対して、原料または消費の目的物を製造することなく新資本を製造する企業者の存在を仮定せねばならぬ。一方においてはある額の貯蓄と他方においてはある額の新資本とを与えられたとすれば、これらの貯蓄と新資本とは新資本の市場において、せり上げせり下げの機構に従い、交換理論と生産理論とによって決定せられた、新資本の消費的用役または生産的用役の価格に応じて互に交換せられる。そこで収入のある一定の率が成立し、各新資本の販売価格はその用役の価格と収入の率の比に等しくなる。新資本の企業者は、生産物の企業者と同じく、販売価格が生産費を超えるかまたは生産費が販売
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