μ から μ' に変化すると想像すれば、私共はこれら二つの出来事の各々を突発的に来た価格騰貴の原因となさざるを得ないであろう。人々が欲しないで何事かをなすことはあり得ることであり、価格変動の主原因と条件の決定においてもしばしばかような場合がある。
 一〇三 均衡が成立し、各交換者は(B)で表わした(A)の市場価格[#式(fig45210_007.png)入る]、(A)で表わした(B)の市場価格 μ において、最大満足を与える所のそれぞれの量の(A)及び(B)を所有しているとする。この状態は稀少性の比と価格とが相等しいことによって存在するのであって、これらが相等しくないようになれば、存在しない。だから最大満足の状態がいかにして利用と所有量の変化によって妨げられるか、またこの妨害はいかなる結果を齎らすかを見よう。
 利用の変化は種々な有様で行われ得る。強度利用が増加し、外延利用が減少することもあり得れば、またその反対もあり得る。…この点について一般的命題を立てるには、多少の注意を要する。だから私共は、利用の増加または減少[#「利用の増加または減少」に傍点]という表現を、交換後における充された最後の欲望の強度すなわち稀少性の増減の結果を生ぜしめる欲望曲線の移動を意味せしめるためにのみ用いたいと思う。これだけを了知して、ある交換者達に対する(B)の利用の増加すなわち(B)の稀少性の増加を生ぜしめる(B)の欲望曲線の移動があったと想像する。このときには、もはやこれらの交換者にとり最大満足ではない。そしてこれらの人にとっては、互に逆な市場価格[#式(fig45210_007.png)入る]及び μ において、(A)を供給し、(B)を需要するのが利益である。先には価格[#式(fig45210_007.png)入る]及び μ において二商品の需要と供給とが等しかったのであるから、今はこれらの価格においては、(B)の需要は供給より大であり、(A)の供給は需要より大である。そこで pb[#「b」は下付き小文字] は騰貴し、pa[#「a」は下付き小文字] は下落する。だがこのときから、他の交換者にとっても最大満足ではあり得ない。これらの人々にとっては、(A)で表わした(B)の価格が μ より大であり、(B)で表わした(A)の価格が[#式(fig45210_007.png)入る]より小であ
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