フ双方によって決定せられるという意味において複雑であり、相対的である。だから需要曲線の傾斜を、需要の減少の価格の増大に対する比の極限[#「需要の減少の価格の増大に対する比の極限」に傍点]〔訳者註、需要を価格につき微分した微分係数〕――これは数学的に決定することの出来る事情であるが――と定義すれば、それは二商品の利用の強度の複雑な関係に他ならないということになる。
七三 なお(A)の需要曲線 ad,1[#「d,1」は下付き小文字]ap,1[#「p,1」は下付き小文字] の傾斜に影響を有する他の事情がある。それは(B)商品の所有者(1)の手中に存在する(B)の量 qb[#「b」は下付き小文字] である。一般に部分的需要の曲線が部分的存在量の双曲線より小さいのは、総需要の曲線が全部量の双曲線より小さい如くである。故に部分量の双曲線が原点に近づきつつ、または原点を離れつつ変化するかに従って、部分的需要の曲線もそれと同様に変化し、あたかも強度利用の変化の結果として現われるように見える。これら二つの場合におけるこの必然的関係を、図は忠実に示している。
七四 この分析は不完全でありながら、一見これ以上にこの分析を一層深く押し進めることは不可能のように見える。なぜなら絶対的強度利用は、外延利用及び所有量と異り、時間にもまた空間にも、直接のかつ計量し得る関係を有しないため、測定し得られないという事実があるからである。けれどもこの困難は越え得ないものではない。今私は、右のような関係が存在すると仮定し、外延利用、強度利用、及び所有量がそれぞれ価格に及ぼす影響を正確に数学的に説明しようと思う。
[#図(fig45210_035.png)入る]
故に私は、欲望の強度すなわち強度利用を計量し得る所の、かつ同種類の富のすべての単位にのみならずあらゆる種類の富のすべての単位に共通な尺度の存在を仮定する。今縦軸 Oq 横軸 Or を二つの坐標軸であるとする(第三図)。縦軸 Oq 上に、原点 O から順次に長さ Oq', q'q'', q''q''', ……をとり、これらをもって、(B)の所有者(1)が自ら現にこれらを所有するとすれば、ある時間のうちに順次に消費していくであろう所の単位数を表わさしめる。かつ外延利用及び強度利用は、この時間中、各交換者に対し一定である[#「一定である」に傍点]と仮定する。こ
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