点](〔utilite' d'extension〕 または 〔utilite' extensive〕)と呼ぶ所のものによって決定せられる。私がここで外延利用という名辞を用いたのは、この利用を有する種類の冨によって充足せられる欲望の普遍性と数量とが、この欲望を感ずる人々の多少及び感ずる強度の大小によって決定せられるからである。一言でいえば、獲得のために何らの犠牲を提供する必要が無いとすれば、その場合にこの商品が多量に消費せられるかまたは少量だけしか消費せられないかが、外延利用である。ところで(A)の外延利用は(A)の需要曲線にしか影響を与えないという意味で、また同様に(B)の外延利用は(B)の需要曲線にしか影響を与えないという意味で、この第一の事情は簡単であり、絶対的である。かつ外延利用は価格零において需要せられる量であるから計量出来る大いさであるという意味において、この第一の事情は計量し得られるものである。
 七二 だが外延利用は利用のすべてではない。それはこの一因子に過ぎない。このほかに、今曲線 ad,1[#「d,1」は下付き小文字]ap,1[#「p,1」は下付き小文字] の傾斜を決定する事情と、この曲線が価格の軸に達する点 ap,1[#「p,1」は下付き小文字] の位置を決定する事情とを研究すれば、直ちに明らかになってくる他の利用がある。ところで曲線の傾斜は二つの量すなわち価格の増大とこの増大によって惹き起される需要の減少との比に他ならない。この比は一般に何に依存するか。それは私が強度利用[#「強度利用」に傍点](〔utilite' d'intensite'〕 または 〔utilite' intensive〕)と名附ける利用の一種に依存するのである。この利用を強度利用と名附ける理由は、この利用を有する富によって満足される欲望が、価格が高いのにもかかわらず、多くの人々の間に存するかまたは少数の人々の間に存するか、また各人においては強く存在するかまたは弱く存在するかによって、この利用が強いものであるかまたは弱いものであるかが明らかになるからである。一言でいえば、この商品を獲得するために払う犠牲の程度が、商品の消費量の大小に影響するのは、強度利用の結果である。この事情は、外延利用と異り、(A)の需要曲線の傾斜が、(B)の需要曲線と同じく、(A)の強度利用及び(B)の強度利用
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