山さち川さち
沖野岩三郎
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)紀州《きしう》の
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)鉄砲|肩《かた》げて
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「魚+完」、第4水準2−93−48]《あめのうを》が
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ザワ/\と
−−
一
昔、紀州《きしう》の山奥に、与兵衛《よへゑ》といふ正直な猟夫《かりうど》がありました。或日《あるひ》の事いつものやうに鉄砲|肩《かた》げて山を奥へ奥へと入つて行きましたがどうしたものか、其日《そのひ》に限つて兎《うさぎ》一|疋《ぴき》にも出会ひませんでした。で、仕様事なしに山の頂から、ズツと東の方を眺《なが》めて居ますと、遙《はる》か向ふから蜒々《うねうね》とした細い川を筏《いかだ》の流れて来るのが見えました。
「あの筏が丁度《ちやうど》この山の麓《ふもと》まで流れて来る間に俺《おれ》はこゝから川端まで降
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