と、申し上げました。すると、皇子さまも、残念さうな、お顔をなされて、
「残念なことをした。其《そ》の山伏をよんで来たなら、民部大輔の、今言つた其の嘘《うそ》を、もつと、小くしてやるやうに、祈らせる筈だつたが。」と、申されました。
 まだ五歳か六歳の、御幼少なころでしたが、お賢い寛成の皇子さまは、何もかも、よく御承知だつたのです。そして、こんな奇抜なことを、おつしやつたのでございました。
 この寛成の皇子さまが、御成長の後に、御即位なされて、長慶天皇さまに、おなりになつたのでございます。



底本:「日本児童文学大系 第一一巻」ほるぷ出版
   1978(昭和53)年11月30日初刷発行
底本の親本:「童話読本 六年生」金の星社
   1939(昭和14)年2月
初出:「金の星」金の星社
   1927(昭和2)年1月
入力:tatsuki
校正:田中敬三
2007年2月21日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全4ページ中4ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
沖野 岩三郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング