彌彦山
長塚節
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)角田《かくた》山
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「煢−冖」、第4水準2−79−80]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例))ぞろ/\と
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新潟の停車場を出ると列車の箱からまけ出された樣に人々はぞろ/\と一方へ向いて行く。其あとへ跟いて行くとすぐに長大な木橋がある。橋へかゝつてぶら/\と辿つて來ると古傘を手に提げた若者が余の側へ寄つて丁寧な辭儀をして新潟はどちらへお泊りですかと問うた。彼は宿引であつたのだ。何處といふことはないが郵便局へ用があるのだから其方へ行かねばならぬと斷る積りでいふと、局ならばすぐ手前のうしろに當つて居ります、手前には電話もありますスケに佐渡の汽船へお差支を掛けるやうなことは致しませんから泊つて下されといつた。余は構はずにぶら/\來ると宿引も跟いて來る。橋の向は新潟の市街で水に臨んで人家が長く接續して居る。後を顧みると岸が遙に遠
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