白甜瓜
長塚節

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)剥《む》いて

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「蓙」の左側の「人」が「口」、379−5]を敷いて

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例))すく/\と
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 石の卷を出て大きな街道を行くと暫くして松林へかゝる。海邊であるが松は孰れもすく/\と立つて然かも鬱蒼と掩ひかぶさつて居る。街道は恰も此の松林を穿つて通じてあるやうである。暑い日光をうけた白い砂利が松と相映射して居る。此の日は朝から無理な歩きやうをした爲か足がだん/\に痛み出して居たので松の木蔭の草村へ※[#「蓙」の左側の「人」が「口」、379−5]を敷いて休んだ。兩掛の荷物を卸すと身體が急に輕くなつて何となくぼんやりした。脚袢でぴつちりと締めた足がだるくなつた。荷物を枕にして横になる。いゝ心持である。ふと見ると松林の外から一人の女が荷車を曳いて來た。女は荷車の梶棒を高くあげて荷車へ載た箱から何かごろ/\
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