白瓜と青瓜
長塚節

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)小作人《こさくにん》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)始終|窘《たしな》められて

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「くさかんむり+行」、第3水準1-90-82]菜《あささ》の

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例))よく/\の
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 庄次は小作人《こさくにん》の子でありました。彼の家は土着《どちやく》の百姓であります。勿論百姓といふものが一旦落ちついた自分の土地を離れて彷徨《さまよ》ふといふことはよく/\の事情が起らない限りは決してないことであります。自分に土地を所有する力の無いものは他《ひと》の土地を借りて作物《さくもつ》を仕付《しつけ》ます。そして相應に定められた金錢や又は米や麥の收獲の一部を地主《ぢぬし》へ納めるのであります。此が小作料であつて、私の間に授受されて居る租税であります。それで小作人の懷にする處は其の收獲のうちから
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