えて」に傍点]知《し》らせやがればえゝのに」卯平《うへい》がぶすりと呟《つぶや》く聲《こゑ》は低《ひく》くしかもみんなの耳《みゝ》の底《そこ》に響《ひゞ》いた。卯平《うへい》は其《そ》の日《ひ》の未明《みめい》に使《つかひ》の來《く》るまではお品《しな》の病氣《びやうき》はちつとも知《し》らずに居《ゐ》た。驚《おどろ》いて來《き》て見《み》ればもうこんな始末《しまつ》である。卯平《うへい》も泣《な》いた。彼《かれ》は煙管《きせる》を噛《か》んでは只《たゞ》舌皷《したつゞみ》を打《う》つて唾《つば》を嚥《の》んだ。勘次《かんじ》は只《たゞ》泣《な》いて居《ゐ》た。彼《かれ》はお品《しな》の發病《はつびやう》からどれ程《ほど》苦心《くしん》して其《その》身《み》を勞《らう》したか知《し》れぬ。お品《しな》の病氣《びやうき》を案《あん》ずる外《ほか》彼《かれ》の心《こゝろ》には何《なに》もなかつた。其《その》當時《たうじ》には卯平《うへい》に不平《ふへい》をいはれやうといふやうな懸念《けねん》は寸毫《すこし》も頭《あたま》に起《おこ》らなかつたのである。
 お品《しな》の死《し》は卯平《うへ
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