《て》を胸《むね》で合《あは》せてやつた。さうして機《はた》の道具《だうぐ》の一《ひと》つである杼《ひ》を蒲團《ふとん》へ乘《の》せた。猫《ねこ》が死人《しにん》を越《こ》えて渡《わた》ると化《ば》けるといつて杼《ひ》は猫《ねこ》の防禦《ばうぎよ》であつた。杼《ひ》を乘《の》せて置《お》けば猫《ねこ》は渡《わた》らないと信《しん》ぜられて居《ゐ》るのである。
夜《よ》は益《ます/\》深《ふ》けて冷《ひ》え切《き》つて居《ゐ》た。家《いへ》の内《うち》には一|塊《くわい》の※[#「火+畏」、第3水準1−87−57]《おき》も貯《たくは》へてはなかつた。枕元《まくらもと》に居《ゐ》た近所《きんじよ》の人々《ひと/″\》は勘次《かんじ》とおつぎの泣《な》き止《や》むまでは身體《からだ》を動《うご》かすことも出來《でき》ないで凝然《ぢつ》と冷《つめ》たい手《て》を懷《ふところ》に暖《あたゝ》めて居《ゐ》た。おつぎは漸《やうや》く竈《かまど》へ落葉《おちば》を燻《く》べて茶《ちや》を沸《わか》した、みんな只《たゞ》ぽつさりとして茶《ちや》を啜《すゝ》つた。
「勘次《かんじ》もかせえて[#「かせ
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