い》をも痛《いた》く落膽《らくたん》せしめた。卯平《うへい》は七十一の老爺《おやぢ》であつた。一昨年《をととし》の秋《あき》から卯平《うへい》は野田《のだ》の醤油藏《しやうゆぐら》へ火《ひ》の番《ばん》に傭《やと》はれた。卯平《うへい》はお品《しな》が三つの時《とき》に、死《し》んだお袋《ふくろ》の處《ところ》へ入夫《にふふ》になつたのである。五つの時《とき》から甘《あま》へたのでお品《しな》は卯平《うへい》に懷《なづ》いて居《ゐ》た。お袋《ふくろ》の生《い》きて居《ゐ》るうちは卯平《うへい》もまだ壯《さかり》であつたが、お袋《ふくろ》が亡《な》くなつて卯平《うへい》の皺《しわ》が深《ふか》く刻《きざ》まれてからは以前《いぜん》から善《よ》くなかつた勘次《かんじ》との間《あひだ》が段々《だん/\》隔《へだ》つて、お品《しな》もそれには困《こま》つた。到頭《たうとう》村《むら》の紹介業《せうかいげふ》をして居《ゐ》る者《もの》の勸《すゝ》めに任《まかせ》て卯平《うへい》がいふ儘《まゝ》に奉公《ほうこう》に出《だ》したのであつた。
病人《びやうにん》の枕元《まくらもと》に居《ゐ》た近所《
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