目《め》を蹙《しか》めて居《ゐ》た。慌《あわ》てた與吉《よきち》の手《て》は其《そ》の軸木《ぢくぎ》の先《さき》から徒《いたづ》らに毛《け》のやうな煙《けぶり》を立《た》てるのみであつた。彼《かれ》は焦躁《じ》れて卯平《うへい》の足《あし》もとの灰《はひ》へ燐寸《マツチ》の箱《はこ》を投《な》げた。箱《はこ》はからりと鳴《な》つた。箱《はこ》の底《そこ》はもう見《み》えて居《ゐ》たのである。卯平《うへい》は目《め》を蹙《しか》めた儘《まゝ》燐寸《マツチ》をとつて復《また》すつと擦《す》つて、ゆつくりと軸木《ぢくぎ》を倒《さかさ》にして其《そ》の白《しろ》い軸木《ぢくぎ》を包《つゝ》んで燃《も》え昇《のぼ》らうとする小《ちひ》さな火《ひ》を枯燥《こさう》した大《おほ》きな手《て》で包《つゝ》んで、大事相《だいじさう》に覗《のぞ》いた。それが復《また》二三|度《ど》反覆《くりかへ》された。手《て》の内側《うちがは》がぼんやりとしてそれから段々《だん/\》に明《あか》るく成《な》つて火《ひ》は漸《やうや》く保《たも》たれた。茶釜《ちやがま》の底《そこ》に觸《ふ》れるばかりに突込《つゝこ》まれ
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