れから狹《せま》い戸口《とぐち》をぴたりと閉《とざ》して枯燥《こさう》した手足《てあし》を穢《きたな》い蒲團《ふとん》に包《つゝ》んでごろりと横《よこ》に成《な》つた。
 午餐《ひる》に勘次《かんじ》が戻《もど》つて、復《また》口中《こうちう》の粗剛《こは》い飯粒《めしつぶ》を噛《か》みながら走《はし》つた後《あと》へ與吉《よきち》は鼻緒《はなを》の緩《ゆる》んだ下駄《げた》をから/\と引《ひ》きずつて學校《がくかう》から歸《かへ》つて來《き》た。足袋《たび》も穿《は》かぬ足《あし》の甲《かふ》が鮫《さめ》の皮《かは》のやうにばり/\と皹《ひゞ》だらけに成《な》つて居《ゐ》る。彼《かれ》はまだ冷《さ》め切《き》らぬ茶釜《ちやがま》の湯《ゆ》を汲《く》んで頻《しき》りに飯《めし》を掻込《かつこ》んだ。粘膜《ねんまく》のやうに赤《あか》く濕《うるほ》ひを持《も》つた二つの道筋《みちすぢ》を傳《つた》ひて冷《つめ》たく垂《た》れた洟《はな》を彼《かれ》は啜《すゝ》りながら、箸《はし》を横《よこ》に持《も》ち換《か》へて汁椀《しるわん》の鹽辛《しほから》い干納豆《ほしなつとう》を抓《つま》んで
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